月例句会<今を詠む>


 月例句会<今を詠む>は、「俳句の島」の発足した2018年の6月

以来、2023年5月31日まで、「俳句の島」唯一の秀句公開の句会として、開催されて参りました。

 

 しかしながら、みなさまの非公開の勉強会への希望が強く、2023年6月以降、非公開の<鳳の会>に統合させて頂くこととなりました。

 

 今後は、非公開とはなりますが、<鳳の会>にご投句を継続頂けますようお待ち申し上げます。

 

 ご投句は、参加は俳句を愛する方どなたでも歓迎です(完全無料です。)

 

 参加ご希望の方は、本ホームページの最後の<お問い合わせ>から、ご

希望のハンドルネームと共にご一報下さい。

 

 句会のアドレス(URL)とハンドルネーム、パスワードをお送り申し

上げます。

 

  なお、<今を詠む>の過去の秀句は、今後とも「俳句の島」に掲載を

申し上げます。

 

 また、2023年度中に、「俳句の島」の俳人の方で、その秀句を公開

ご希望の方には、新しく公開の場を設け、ご投句の方法をご案内申し上げ

ます。

 

<今を詠む>秀句

第六十一回 秀句(2023年5月31日)

 

スケボーをひっくり返す雲の峰     原崎恵三

東西の轍に踏まれ夏の草        原崎恵三

風紋の稲佐の浜やあいの風       長濱藤樹

海猫の日御碕浦大落暉         長濱藤樹

 

第六十回  秀句(2023年4月30日)

 

ポケットの名刺一枚春惜しむ      こすも

一斉に灯の点りたる梨の花       長濱藤樹

中庭の噴水の音昼眠し         みんと

そのうちになんとかなるさ蝸牛     こすも

振り向けば勿忘草の人となり      美和

野蒜摘む尼僧の顔の笑皺        長濱藤樹

幼子の瞳の真中新樹光         こすも

 

第五十九回 秀句(2023年3月31日)

 

川風やぶつかつて来るしゃぼん玉    みんと

花冷の父の形見の硯かな        こすも

カラオケの抗原検査蝶の昼       雅人

ひと隅にかたまるゴリラ花の昼     長濱藤樹

初めての恩師の涙卒業季        こすも

乙女子の円陣組める花吹雪       長濱藤樹

 

第五十八回 秀句(2023年2月28日)

 

中指のペンだこ歪木の芽冷       こすも

空つぽのハンドクリーム木の芽時    こすも

山茱萸のひらき初めたる日のひかり   長濱藤樹

絡みては元の形に柳の芽        こすも

木の芽時眠りし膝の単語帳       こすも

園児らと手を振り合へりチューリップ  みんと

箒目の渦巻く古刹楓の芽        こすも

 

第五十七回 秀句(2023年1月31日)

 

掛軸のまろき二文字春隣        こすも

大寒の薬手帳の記録かな        こすも

透明な手袋伝ふ余寒かな        雅人

匕首のよふな微笑冬さくら       雅人

読まぬ本多き本棚日脚伸ぶ       みんと

茅葺の軒先光る氷柱かな        美和

立春大吉鎌倉彫の木のぬくみ      長濱藤樹

 

第五十六回 秀句(2022年12月31日)

 

元旦の寿ぎ交はす稚児の膝       こすも

片付けの途中のままの大晦日      こすも

くす玉を鳩の飛び出す初御空      みんと

ひだまりの猫の欠伸や日脚伸ぶ     こすも

供出をまぬがれたりし除夜の鐘     みんと

犬二匹娘ふたりやお正月        長濱藤樹

「こら」は「ねえ」の鹿児島弁桃の花  みんと

 

第五十五回 秀句(2022年11月30日)

 

初冬の一筆箋の走り書き                            こすも

短日のガス灯点る日本橋                            長濱藤樹

鶴を折る指の力や冬木の芽                        みんと

赤ん坊の手足ばたばた山眠る                    みんと

水鳥の一斉に向く東かな                         長濱藤樹

置き場所を変へたがる夫ポインセチア     みんと

木漏日の集まつてゐる黄葉かな                 こすも

数へ日や終に分からぬ仕舞ひ場所       みんと

 

第五十四回 秀句(2022年10月31日)

 

黒髪の撮り鉄手振る菊日和          長濱藤樹

椎の実のふたつ置かれし墓標かな       長濱藤樹

掛けられし名画逆さま冬に入る     みんと

SLの汽笛叫べる苅田かな       長濱藤樹

参拝の土産となりし零余子かな        美和

塗り替えられし黄色い都電冬に入る      みんと

 

第五十三回 秀句(2022年9月30日)

 

月光の影を踏みゆく刈田かな      長濱藤樹

初刈りの稲穂の重さ嚙みしめり     美和

上を向く駅の矢印秋の風        みんと

滑りゆく紅葉の谷やロープウエイ    美和

月光の扉を開く非常口         長濱藤樹

 

手の甲のあぶり蚊強く叩きけり     こすも

 

第五十二回 秀句(2022年8月31日)

 

満月やマカロンころんワインぽん    有村努

スーパーの開店セール秋の朝      長濱藤樹

虫集く微かに交じるコル・レーニョ   有村努

夢殿の扉の開く秋の蝶            みんと

飛び入りに一位さらはれ運動会     みんと

限界のイナバウワーよ式部の実     有村努

 

第五十一回 秀句(2022年7月31日)

 

秋の声一直線のプラタナス         こすも

点滴のチューブの光り夜の秋              みんと

使い切るおくすり手帳百日紅                 有村努

階段は鍵盤の色今朝の秋                      みんと 

汗拭ふ第三楽章コンダクター              有村努

花火果つ遺影に残る父の笑み              雅人

幼子の手のひら踊るトマトかな       美和

 

第五十回  秀句(2022年6月30日)

 

夏の海風の龍飛の慰霊塔       長濱藤樹

撫で牛は心で撫でよ若葉寒      長濱藤樹

顔洗ふ腕まで濡るる夏の朝      みんと

網鬼灯あの世の風の通ひけり     長濱藤樹

大海原釣りの暇の風涼し       有村努

参道の二百二段や走り梅雨      長濱藤樹

二年振りに会ひし男の日焼かな    みんと

 

第四十九回  秀句(2022年5月31日)

山ひとつ駆け抜けてゆく白雨かな       長濱藤樹

麦の風戦車の轍幾重にも           みんと

銀ブラの上着片手の薄暑かな         美和

薄紅の薔薇や古代の女神像          長濱藤樹

行きずりの関取のまげ薄暑光         こすも

肩書の襟章外しビヤホール          雅人

鳥肌をなぞる少女の梅雨入りかな       雅人

 

第四十八回  秀句(2022年4月30日)

山藤や見知らぬ道に迷ひこみ         雅人

白鳳佛の御身のひかり春惜しむ        長濱藤樹

余花の窓宅配ピザの届きけり         こすも

斜面ごと揺れてポピーへ雨募る        有村努

竹皮を脱ぎ組み替へる予定表         こすも

食べごろの日付素通りメロン切る       こすも

若葉風パークレールの二分間         こすも

天国へ瑠璃唐草の覆ふ丘           有村努

撮り鉄の脚立三脚桜舞ふ                         有村努

緑の日家族総出の鬼ごつこ       こすも

銀泥の空のしたたり杜若        みんと

 

第四十七回  秀句(2022年3月31日)

一群の風となりたる雪柳                   こすも

木登りの少女の揺らす桜かな           みんと

しばらくは立ち尽くすまま花吹雪       こすも

餌あさる鳩の縄張り春落葉                  みんと

退職のポケットチーフ春の色           こすも

開閉の車のドアや花吹雪                   長濱藤樹

作業着のネームプレート風光る          雅人

生みたての卵自販機陽炎へり           有村努

挨拶の話も弾む日永かな                   美和

花びらの外れる途中白木蓮         みんと

 

 

第四十六回  秀句(2022年2月28日)

紫雲英田の風の香りやデンデラ野   長濱藤樹

春昼や川船の窓万華鏡        みんと

水草生ふ大龍神の雲の池       長濱藤樹

薔薇の芽や日々に膨らむ夢一つ    美和

老猫の眠るソファーの日永かな    美和

大国の侵略見てる春炬燵       有村努

新しき支への目立つ臥龍梅      こすも

水温むのたりのたりの鯉の影     美和

竹林に魔物棲みゐる春北風      有村努

 

 

第四十五回  秀句(2022年1月31日)

霧吹きに育ちし古木梅ふふむ     有村努

千代紙の散らばつてゐる炬燵かな   こすも

チーリップ園児の居ない保育園    堀尾笑王

一束の手紙をくべる春隣       みんと

駅毎に遅延告げたる冬の霧      みんと

春寒し鳶見習ひのミャンマー人    堀尾笑王

 

第四十四回  秀句(2021年12月31日)

小晦日双手に重きエコバック     こすも

歳晩や沁みる夜汽車の回顧旅     堀尾笑王

晴れてくる厨の窓辺初雀       こすも

遭難の慰霊碑抱き山眠る       堀尾笑王

金色の銘は「神聖」年酒酌む     有村努

茅葺の軒先光る氷柱かな       美和

凍蝶や往きも還りも出会ふ人     みんと

真つ直ぐな犬の目と合ふ冬の山    みんと

円周率の戦つてゐる朱欒かな     長濱藤樹

潰れたる捻子の頭や十二月         雅人

師走駅托鉢僧の鉦の音        堀尾笑王

 

 

第四十三回  秀句(2021年11月30日)

 

七五三優先席の一家族        みんと

五年てふ余命のやうな日記買ふ    有村努

白菜の断面並ぶ縁の先        みんと

風神の袋開かれ冬の蝶        みんと

自転する海馬の中や日向ぼこ     雅人

極月や使わぬままの研磨剤      雅人

テルミンや三途の川の凍てる夜    有村努

禅寺の干し大根の簾かな       堀尾笑王

日向ぼこ一人二人と集いけり     美和

桶火鉢今も昔も窓換気        有村努

 

第四十二回  秀句(2021年10月31日)

 

周波数合はざるラジオ文化の日      みんと

見放題の韓ドラ釣瓶落しかな       長濱藤樹

笹子鳴く濱田庄司の眠る丘        堀尾笑王

高速の渋滞表示帰り花          長濱藤樹

冬麗や小魚見ゆる沈下橋         堀尾笑王

雪嶺や窓の大きな山の宿         長濱藤樹

駄菓子屋の開店気紛れ秋時雨       有村努

藁塚のかくれんぼの子顔出して      美和

蓑虫や聖鐘の空鳴り渡る         みんと

岩肌に雲影走り山装ふ          こすも

平穏に終りし厨秋刀魚焼く        こすも

まずいよと言い添え梨の直売店      有村努

 

ハロウィーン魔女の衣装のフラチーム 有村努

 

 

第四十一回  秀句(2021年9月30日)

 

大仏の肩に始まる秋の空        みんと

少年のらくがきめきて秋の雲      一花

禅寺の渡り廊下や吊るし柿       堀尾笑王

読み返す故郷便り虫の秋        こすも

家捨つる皇女の乱よ式部の実      有村努

秋の宵ワイングラスに残る紅      堀尾笑王

秋草や遠流の島の能舞台        みんと

鍬の土落とす農夫やいわし雲      一花

謎解きの解けそで解けぬ夜長かな    美和

原子炉を抱くたましひ秋桜       雅人

秋の水影より淡く動きけり       堀尾笑王

秋日濃し佃煮匂ふ船溜         長濱藤樹

水音を囲みて風のダリアかな      長濱藤樹

 

第四十回  秀句(2021年8月31日)

 

百歳へ第三コーナー月天心       有村努

酒出せぬ店に自慢の新豆腐       有村努

髪を切る二百十日の誕生日       一花

母さんとそっと呼びかけ大花野     一花

月光のサハラモノクロの大地かな    長濱藤樹

塩味のちよつと足りない秋思かな    こすも

逢へずともいつも近くにちちろ虫    こすも

動物ビスケットまあるく並べ秋日和   みんと

語り部は浮浪児のボス敗戦忌      堀尾笑王

背表紙の色のランダム秋の風      みんと

ドアの鍵開けてください鉦叩      こすも

 

第三十九回 秀句(2021年7月31日)

 

見取り図に小窓書き足す夏の星     みんと

夕涼み釦外して浜に立つ        美和

金接ぎの織部の茶碗晩夏光       堀尾笑王

日盛りの影連れ歩く塀の道       みんと

新涼の一句を磨く瀬音かな       長濱藤樹

圧力鍋の振り子の震へ夜の秋      こすも

朝涼やベッドの上のストレッチ     一花

正門に飾る七夕留置場         有村努

小魚のお休み所布袋草         美和

泰山木の花影に待つ日曜日       こすも

 

 

第三十八回 秀句(2021年6月30日) 

 

夾竹桃風の中央分離帯           みんと

真青なる竹の井戸蓋半夏雨         堀尾笑王

七色に裏見の滝のしぶきけり           長濱藤樹

百均の傘で帰るや桜桃忌             雅人

梅雨晴れ間物干し竿の重き事        美和

炎昼やベビーカーより足の出て       一花

梅雨晴や衝動買ひの椅子ひとつ       長濱藤樹

夏蝶の止まりをりぬコルクかな          雅人

富士山の鳥居小さき登山口         堀尾笑王

青梅雨や誘導員のこゑ太き         雅人

何気なく振り向く先の立葵         こすも

手の氷菓古都の鳶に奪はるる           堀尾笑王

梅酒瓶三つ残りて独りかな          みんと

真っ青なキャンバスに描く入道雲          一花

誰にでもポンと試さる西瓜かな        こすも

 

 

第三十七回 秀句(2021年5月31日)

 

米を研ぐ音に目覚むる帰省かな     堀尾笑王

天空を抜け月山の大雪渓        堀尾笑王

洗いあぐ靴一列に夏初め        有村 努

夏蜜柑航跡白き駿河湾         堀尾笑王

宴から宴へ遊ぶ夏の蝶         雅人

二刀流のチャンバラごつこ夏来る    こすも

蚕豆やお歯黒妖し遊女の画       有村努

ケセラセラ歌ふ独り居星涼し      みんと

目の前の眼鏡をさがす半夏生      こすも

浮き草に総身寄せ合ふ目高かな     美和

走り梅雨ウーバーイーツ前後して    有村努

街の灯のグラスに揺るる白夜かな    長濱藤樹

山間の水張そよぐ青田かな       美和

 

第三十六回 秀句(2021年4月30日)

 

書き直すお礼の手紙夕薄暑        こすも

水槽の亀の手足や夏に入る        こすも

和菓子屋のレジに小さき鯉のぼり        一花

ちゃぶ台の五人兄妹豆ごはん          一花

万緑やリュクに揺るる水の音          こすも

若葉風象舎に象の遺影かな        堀尾笑王

看板の極彩色や街薄暑          雅人

新茶摘む航跡白き駿河湾            堀尾笑王

囀のカクテル囀の坩堝             長濱藤樹

石楠花やポンポン揺らすチアガール     有村努

ふんばつて犬のいやいや皷草          長濱藤樹

解の無き三体運動花曇り            有村努

花あやめ嫁入り船の波静か        美和

雲の峰テニスコートの打球音          堀尾笑王

方丈の床板軋む素足かな            みんと

春の海舫はれてゐる救助船           長濱藤樹

富士山や冷索麺を啜る音            みんと

行く春や富士の見えざる富士見坂        みんと

 

 

第三十五回 秀句(2021年3月31日)

 

蝌蚪の池ガキ大将の顔映る        堀尾笑王

故郷の空が一番豆の花          こすも

草団子斜め読みする古新聞        有村努

朧夜や途中消えたる知能線        有村努

我が輩は馬鹿である四月朔日       堀尾笑王

ほろほろと木通の咲ける夕曇       公子

初鳴きの長閑なりしや砂防林       美和

 

 

第三十四回 秀句(2021年2月28日)

 

青空を揺らしてゐたり花菜風      長濱藤樹

犬と犬鼻突き合はす花の昼       長濱藤樹

原点の暮らしに戻る山椿        こすも

指差して子ら後ずさる蝌蚪の紐     有村努

春水の跳ねる三連水車かな       堀尾笑王

ごつごつと枝張る古木梅真白      有村努

冴え返る深きこだまの星の井戸     有村努

菜の花や太公望の立ち上がる      みんと

木の芽張る太宰府の空広がれり     みんと

横跳びのゴールキーパー下萌る     堀尾笑王

魚は氷に上がり少年反抗期       有村努

風音のノックする窓枝垂桜       みんと

 

 

第三十三回 秀句(2021年1月31日)

 

日本語も英語も訛り猫柳        こすも

風花や長方形の路地の空        堀尾笑王

あたたかや鳥獣戯画の猿の僧      みんと

抱き寄せる赤子のほつぺスイトピー   こすも

寒に入る僧侶青々剃り上げて      しょうこ

立春大吉リップクリームにゅつとゐで  雅人

ずり足の一歩進みて小春かな      美和

酒蔵の軒先光る氷柱かな        美和

沈丁花道案内の老女かな        美和

ビニール傘開く紳士や寒の雨      雅人

水音につぼみほどけし蕗のたう     一花

肉吊す肉屋の鉤よ冴返る        堀尾笑王

臥竜梅脚立を立てる池の中       みんと

 

 

第三十二回 秀句(2020年12月31日)

 

ボロ市のボンと鳴り出す掛け時計      堀尾笑王

母の座の炬燵の上の虫眼鏡         青柳かほる

こつこつと貯めるポイント冬木の芽     有村努

乾きたる魚板の音や寒の入り        堀尾笑王

地下足袋の深き踏み跡霜柱         堀尾笑王

夜勤明け父の土産の懐炉かな        有村努

舎利殿の屋根の一新淑気満つ        こすも

赤き靴片方ありて川涸るる         みんと

今生はウーパールーパー波の花       一花

寒餅の座敷いっぱい干しいたり       美和

役名は歩行者Aよ古コート          堀尾笑王

レシートの裏には読めぬ淑気かな      雅人

元旦の刺子の上の朱欒かな         長濱藤樹

 

若水の釣瓶引く手に息をかけ        美和

 

 

 

第三十一回 秀句(2020年11月30日)

 

店先の熱きコロッケ一葉忌         山内奈保美

怪獣の飛び出す絵本冬ぬくし        みんと

ATMの新札ひかる神の留守        山内奈保美

未来より便り来たるや雪ぼたる       一花

石蕗日和いつもと同じコスチューム     こすも

東塔の飛天の笛や寒月光          みんと

風花の空の蒼さを磨きけり         長濱藤樹

冬銀河ランプの宿の露天風呂        堀尾笑王

受験子の明かりに合わせ毛糸編む      美和

旅先の囲炉裏囲みて夜の更けし       美和

 

 

第三十回秀句(2020年10月31日)

 

讃美歌のオルガンの波冬薔薇        みんと

後の月千の棚田の風の道          長濱藤樹

たちどまり又たちどまり秋夕焼       一花

休日の正午の時報天高し          雅人

名月や丸洗ひするペット犬         長濱藤樹

夫一語応へて一語秋深し          堀尾笑王

ハロウィーン魔女と鬼女とがすれ違ふ    有村努

コスモスの乱るる故郷通夜の席       有村努

小包の隙間を埋めし柿落葉         こすも

ぽつりぽつりと父の言の葉吾亦紅      一花

 

すぐ喧嘩したる兄弟木守柿         みんと

 

第二十九回秀句(2020年9月30日)

 

山荘のジャズフェステバルかなかなかな     笑王

少年の走る目の奥稲つるび           雅人

たるみたる電線に吹く秋の風            しょうこ

大川のポンポン船の良夜かな          藤樹

野分あと青一色のにわたずみ               一花

白粉花の影に片方ベビー靴          こすも

 

 

第二十八回秀句(2020年8月31日)

 

質問にすぐに答へるちちろ虫     こすも

蜩や蔀戸閉ざす六角堂        堀尾笑王

すっぴんや厨で「じゃり」と梨食らふ 一花

女郎花売却済みの分譲地       堀尾笑王

引越しの後に残りし花カンナ     こすも

小鳥来るショーウィンドーの草木染  長濱藤樹

迷ふたび救つてくれし秋の雲       こすも

秋夕焼自動階段西方へ        雅人

螳螂の真白き殻を脱ぎにけり     長濱藤樹

 

第二十七回秀句(2020年7月31日)

 

ぼうふらや幸福いつも向こふ向き  堀尾笑王

三伏のだし丁寧に参鶏湯      こすも

土手に佇つ花火の華の中に佇つ   堀尾笑王

長梅雨の買い出し派手なアンブレラ 一花

空蝉の殻を脱ぎたる余生かな    長濱藤樹

方言がポロッと出づる円座かな   一花

三個入りなりみようがの一パック  しょうこ

 

草原の真中で見上ぐ星月夜     美和

 

第二十六回秀句(2020年6月30日)

絶叫禁止のジエットコースター雲の峰 みんと

ボルシチの匂ひし窓辺星涼し         こすも

梅雨寒や画質昭和の再放送      有村努

砂山の総身崩るる夏の波         こすも

木漏れ日の開拓者像ほととぎす    みんと

蕎麦好きの下町育ち日日草      一花

河鹿笛賢治の宿の木橋かな      長濱藤樹

あをあをと小学校の余り苗      長濱藤樹

雨音も蒼き色なり夏木立       一花

うきうきと何処から食べよかき氷   美和

妬ましき彼奴の才能冷奴       堀尾笑王

 

第二十五回秀句(2020年5月31日)

転送のメール転送麦の秋              みんと

夕方に閉づる居酒屋松葉菊         有村努

お互ひを労りあつて夏料理         こすも

母恋のTAROのオブジェ花菖蒲         堀尾笑王

クレソンの隣の畑へ旅に出で      美和

金の刷毛雨に散り敷く未央柳      有村努

忍冬コロナ籠りのつる伸びて      一花

ハンカチの白さ際立つ縁飾り      こすも

薫風やうぐひす張の石畳                   有村努

 

第二十四回秀句(2020年4月30日)

自粛でも都市は戦場武具飾る      有村努

居酒屋のジョッキに挿さる君影草    こすも

虹立つや全速力の雨の中              長濱藤樹

かさぶたの薄皮剥がす日永かな          一花 

日々洗ふマスクにほつれ昭和の日      有村努

草むらへ光の軌跡黒揚羽              みんと

ストレスを丸ごと洗ふ髪洗ふ      こすも

木の根明く湯畑の碧香りをり        長濱藤樹

 

第二十三回秀句(2020年3月31日)

置き去りのトラックターの日永かな  こすも

良寛像の目尻の小皺春の鳶            堀尾笑王

花時のベンチの下の鳩のこゑ       長濱藤樹

囀りに合はす口笛城ヶ島             こすも

木の芽和身上調査されてをり       堀尾笑王

週末の巣籠り桜隠しかな             長濱藤樹

桜折り今日の土産の一つとす       美和

 

第二十二回秀句(2020年2月29日)

 

一寸先はいつも光よクロッカス        有村努

ユトリロの好きな白色春浅し       こすも

アスファルト啄む雀春寒し          有村努

エリカ咲くぶつぶつぶつと独り言     こすも

小山より子らは転げし春の草       美和

白梅やパンデミックの空のあを        長濱藤樹

三溪の飛び石渡る蝶の昼             長濱藤樹

立春の水に沈める象牙箸             堀尾笑王

スマホマスクスマホマスク電車春       有村努

 

第二十回秀句(2020年1月31日)

白鳥のひとこゑ闇を呼びよせり          長濱藤樹

春めくや市バスに女性ドライバー       有村努

躓ひてたたら踏む先春の色          有村努

雪舟の山水小巻春の雪          こすも

猿山のうずくまる猿寒四郎          堀尾笑王

鳥雲に入るみちのくの空のあを          長濱藤樹

蝋梅の主なしとて香りたち          美和

どこにでも気安く置かれヒヤシンス    こすも

初山河足場の架かる天守閣          堀尾笑王

大寒の函吊り上げる埠頭かな       みんと

 

第二十回秀句(2019年12月31日)

 

休んでけれ休んでけれと雪女      長濱藤樹

着ぶくれて荒行堂の石畳              みんと

アッサムのミルクたつぷり冬ぬくし こすも

兜太逝く秩父連山冬の虹              長濱藤樹

捨て迷ふ写真講師の古暦              有村努

浮寝鴨水上バスの立てる波         堀尾笑王

寒牡丹電子マネーのお賽銭             みんと

白菜を切つて分け合ふ隣家かな       こすも

冬薔薇三角屋根の美術館                 みんと

 

  第十九回秀句(2019年11月30日)

 

空つぽの財布山茶花日和かな      長濱藤樹

億万の独居老人クリスマス         長濱藤樹

那谷寺の鉈彫りの崖冬紅葉         笑王

冬麗の風の釣橋渡りをり              長濱藤樹

極月のいつもの茶房クロワッサン  こすも

寒禽に狙はれてゐる私の樹         こすも

冬怒濤のまっただ中よ親不知      笑王

 

 

第十八回秀句(2019年10月31日)

 

七五三足投げ出して大欠伸         美和

仮初めの人の輪に入り牡丹焚火   みんと

茶の花や竪穴住居の薄明り         みんと

畦道の先へさきへと赤とんぼ      長濱藤樹

曼珠沙華百万本の昏さかな         長濱藤樹

山裾の一村上げて達磨市              美和

紅葉且つ散る急流の丸太橋         有村努

待合室背中合はせの秋扇              しょうこ

籾摺りの姉さんかぶり母のいて   美和

 

第十七回秀句(2019年9月30日)

 

独り居の人感センサー秋深し        長濱藤樹

採れさうで届かぬ高さ烏瓜             堀尾笑王

停電の街を残して野分去る           堀尾笑王

栗を剥く母のご詠歌夕厨              みんと

鰯雲しれつと嘘をつく女              堀尾笑王

駅ビルの天空回廊水の秋              長濱藤樹

無人店芋掘りたての太き文字        有村努

 

第十六回秀句(2019年8月31日)

  

期限切れに捨てる食材終戦日      有村努 

イノシシの全身骨格豊の秋       みんと

八月や特殊車輌と言ふ戦車       堀尾笑王

恍惚の鏡の顔や晩夏光         みんと

新しきハンドルネーム吾亦紅      こすも

夏帽子どこまでゆくの大荷物      上野貴子

 

 

第十五回秀句(2019年7月31日)

 

みちのくの夏野つらぬく単線路    堀尾笑王

絽羽織の町の世話役九十歳      堀尾笑王

挑みくる鶏(とり)の眼や破れ傘   みんと

作業靴脱ぎ水虫の足を干す      堀尾笑王

 

第十四回秀句(2019年6月30日)

 

一斉に巫女走り出す白雨かな     長濱藤樹

一株はドラエモンブルーの額あぢさゐ 有村努

楸邨の墓へ墓へと蟻の道       長濱藤樹

様の無き封書の余白旱梅雨      みんと

ふんふんと生返事の子心太      堀尾笑王

五月闇救急外来煌煌と        しょうこ

蛍の湧き出して来る棚田かな     長濱藤樹

ラグビー部バナナの山を囲みをり   しょうこ

 

第十三回秀句(2019年5月31日)

 

黒揚羽銀の波立つ伊良湖崎      長濱藤樹

弁当の蛸ウィーンナー雲の峰     堀尾笑王

皇后の外交デビュー聖五月      直江たかべ

シャガールの重なる顔や明け易し   みんと

はやぶさや宇宙でうまれためだかたち しょうこ

いつもの道を初めてと言ふ夏帽子   みんと

茉莉花や近づく人に点く門灯     有村努

 

第十二回秀句(2019年4月30日)

 

バンクシーのねずみ舌出す花曇    みんと

じやらじやらと小銭あまたや小判草  こすも

「ナル」ちゃんの令和になる日聖五月 堀尾笑王

げんげ田は見て貰ふため育てけり   水鶏

紫木蓮転勤先の無人駅        堀尾笑王

酔客に頼むシャッター花の下     有村努

Bリーグメタセコイアの芽吹きかな  有村努

春眠しユーモレスクの調べかな    こすも

 

第十一回秀句(2019年3月31日)

 

大栄螺ロマンを探る宇宙船        頓馬

寡黙な子旅鞄より花菜漬           常磐子

正解の無き選択や桜餅        みんと

ご院主の変はらぬ笑顔木瓜の花      有村努

春愁や勧めと違ふ土産買う          頓馬

クレーンの腕振られけり花の昼      みんと

補欠の子たんぽぽ蹴って絮飛ばす   堀尾笑王

渡りきれない信号の青朧             しょうこ

真青なる空近きより辛夷咲く   しょうこ

 

 

第十回秀句(2019年2月28日)

 

春愁をCT一気に輪切りにす          有村努

春寒し托鉢僧の頭陀袋               頓馬

丹の鳥居十をくぐりし梅の園          水鶏

春駒のサファイヤ色の瞳かな          堀尾笑王

拡ごれる印象派の水風光る       水鶏

立春や舌にやさしき紙ストロー       堀尾笑王

医学部の合否判定亀鳴けり         常磐子

花ミモザポイントで貰ふ「金芽米」 有村努

 

 

第九回秀句(2019年1月31日)

 

天を突く竹に節あり去年今年          しょうこ

鳥帰るブルーモスクの塔六本          水鶏

逆光の沖より釣船日脚伸ぶ       有村努

お年玉年々語彙の豊かなる       しょうこ

戦あるな空襲あるな寒夕焼       堀尾笑王

冬の虹氷見の市場の糶のこゑ          水鶏

振り袖の牡丹崩るる冬座敷       みんと

木の芽風合せ鏡に見る背筋       常磐子

 

 

第八回秀句(2018年12月31日)

 

首伸ばす水槽の亀日脚伸ぶ              こすも

断捨離のふんぎり付かず冬の月      しょうこ

うすらびを浴び渾身の冬桜        節子

百までも生きる日課の日向ぼこ        有村努

生き過ぎの悔ひ少しあり冬の蝿        堀尾笑王

音違ふ左右の耳や枇杷の花        みんと

体重の右に置く癖ねぎ刻む          常磐子

数へ日やアルバムを下げ施設訪ふ     直江たかべ

探梅や潮騒遠き伊豆の山             水鶏

分類はアクティブシニア煤逃げす     有村努

 

 

第七回秀句(2018年11月30日)

 

軍港に豪華客船山眠る           みんと 

冴ゆる夜や螺鈿の放つ真珠光            常磐子

静かなる森を揺らして木の葉散る    節子

南極の氷ぴしぴしウヰスキー          水鶏

千の手のひとつを選りし雪蛍          常磐子

嬰児の初めの一歩冬ぬくし         こすも

頬杖にわずかな微熱霜の声         常磐子

冬青空クルスの先の避雷針         みんと

 

 

第六回秀句 (2018年10月31日)

 

菊晴れやタキシード着る父の照れ    北浦美菜

行く秋のトランペットのをとこかな   水鶏

絹一枚羽織りて出づる十三夜      節子

マンションへ焼いて届ける秋刀魚かな  有村努

きぬかつぎ時には夫の敵となり     常磐子

コスモスや竹垣青き児童館       有村努

野の花を摘みて机上の花野かな     節子

鰯雲果たせぬままのことひとつ     水鶏

 

第五回秀句 (2018年9月30日)

 

捨てきれぬステッキ二本涼新た    北浦美菜

露けしや見ほとりに置く来迎図    節子

高麗川に消ゆる雨音曼珠沙華     水鶏

秋風を引き裂いて行く救急車     しょうこ

椎の実や戦に飢へし子等ありき    小池たまき

華麗とは似つかぬ加齢秋夕焼     節子

秋麗ら時の鐘てふ時計台       堀尾笑王

うなだるる災害列島芒の穂      有村努

脚持ちてバッタの力試しけり     有村努

実柘榴のはじけて村の鬼子母神    節子

曼珠沙華縄文土器の火の形      水鶏 

 

第四回秀句 (2018年8月31日) 

 

水引草よじれて解けぬ主義主張    有村努

枕辺に置く山の水遠はたた      節子

六尺のキリンの首よ秋の風      みんと

レジ袋両手に男夏の月        書川昌子

黒布をはづせし燈火終戦日      節子

つくつくとつくつくしかなひとり言  北浦美菜

 

第三回秀句 (2018年7月31日)

 

夏雲に向ひ白線引きにけり       書川昌子

頼りなき草の穂先の蝉の殻       節子

石庭の水のまぼろし赤とんぼ      み んと

海の日や白軍服の父のこと       節子

洞窟の祠の火影苔の花         みんと

緑蔭のベンチに開く求人誌       堀尾笑王

アマリリス独り暮らしの母の庭     北浦美菜

サングラス外し柏手打ちにけり     小池たまき

 

第二回秀句 (2018年6月30日)

 

鵜飼終へ瞬きしるき星ひとつ           堀尾笑王

合歓咲くや淡き記憶の筒井筒           節子

売られゆく牛の眼やさし青田風        小池弘子

今年竹水子地蔵へ傾ける         小池弘子

足場組む金属音や日雷            みんと

墓はみな高さ競はず月涼し              節子

青梅雨や赤き実の落つ十字墓           節子

夏至の音聞こうよネジをふたつ巻く  直江たかべ

 

第一回秀句 (2018年5月31日)

 

郭公や湖に立つ朱の鳥居        堀尾 笑王

闇ほぐす薔薇の香りの何処より         小池 弘子

郭公の声満ちてをり裏高尾               小池 弘子

花栗や多佳子の句集多佳子の忌         直江たかべ

みちのくの風のしるしの青田かな    水鶏

紫陽花の海のたゆたふ静寂かな        みんと