「俳句の島」俳句大会

(俳句の島)「青葉風俳句大会」第五回開催のご案内

 

 「青葉風俳句大会」第四回を鹿又英一先生(蛮の会主宰)、池田恵美子先生(あかざ主宰)、佐藤久先生(蛮の会編集長)の選の下に開催致します。

 

 俳句大会の日程は下記の通りです。

   投 句 締 日 : 令和6年8月20日(火)(郵送の場合は消印有効)

   入賞・入選句発表: 同9月上旬(「俳句の島」掲載&email又は郵送。)

 

 「青葉風俳句大会」は入賞者への賞状と賞品をご用意しております。

 ご投句は未発表の、夏もしくは秋の雑詠2句一組、@1,000円と致します。

 何組でもご投句可能です。

 下記URLをクリックして立ち上がる投句画面からお願いします。

「青葉風俳句大会」投句用URL:  https://ws.formzu.net/dist/S22141836/

 (注)上記のURLご利用が難しい場合は、emailもしくはご郵送下さい。 

    email : haikunosima50@gmail.com

       郵送先: 〒227-0043 横浜市青葉区藤が丘1-19-32

            長濱藤樹宛

   (注)ご投句様式は、3組までご投句頂けるようにしております。

   4組目以上のご投句を頂く場合は、再度投句URLをクリック頂き、ご投句     

   下さい。ご投句の訂正は、投句締日までは可能です。

            訂正は、投句単位で行います。⇔ 3組6句を一回でご投句の場合は、

        訂正しない句を含め、再度6句全体をご投句下さい。

                (4組目以降の)ご投句の訂正も同様です。

 

 入賞・入選句は「俳句の島」の「俳句大会」の頁に末永く掲載させて頂きます。

 

 投句料は、下記口座にお振込みを頂くか、ご郵送をお願い申し上げます。

  振込先口座: ゆうちょ銀行 10980-12107451 

           「俳句の島」(ハイクノシマ)

    郵 送 先: 投句先に同じ。

        (注)コンシエルジュへの現金手渡しも可能ですが、手渡しを何方かに

       依頼される場合は、託される方のお名前等をご記載下さい。

 

 みなさまのご投句をお待ちしております。

 

            (俳句の島)「青葉風俳句大会」コンシエルジュ 長濱藤樹

        (090-7708-2618

 

みなさま

 

 「木の芽風俳句大会」第四回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、3月上旬に賞状と賞品を郵送申し上げます。

 

       (俳句の島)「木の芽風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

           第四回木の芽風俳句大会 入選句

 

鹿又英一 大賞

 玉掛けの鳶の手旗や空つ風       小林緑青

 

  「玉掛け」とは、工場や建設現場などで鉄骨等をクレーンで持ち上げる際に

  フックに荷物を掛けたり外したりする作業である。危険な作業のため、行う

  人は特別な資格が必要となる。掲句、専門の鳶職がクレーンの運転士に手旗

  を使って合図を送っている姿である。取り合わせた「空つ風」が効いてい

  る。強い風にはためく手旗。大きく揺れるワイヤー。緊張感あふれる景が

  見事に描かれた。

 

同 準大賞

 梅が香や畔繕ひの鍬の音        高田久生

 

  「畔繕ひ」とは、水田での農作業が始まる前に、畔の穴や崩れたところを

  補修する作業のことである。掲句、視覚の他に、鍬の音という聴覚と梅の

  香りという嗅覚を使い、早春の田園風景を活き活きと描いた。俳句は五感

  を動員すべし。

 

同 準大賞

 とれさうでとれぬかさぶた春の雲    黄金丸

 

  無理してとると血が出るし、とらないとなんかすっきりしないし、という

  もやもやした気持ちである。それに取り合わせたのが「春の雲」である。

  春の雲も、もやもやとしたはっきりしない雲である。同質性を取り合わせて

  上手い。

 

池田恵美子 特選

 暁の船の数多や漁始          道子

 

  「漁始」は新年に初めて漁に出る「初漁」の子季語。初漁で得た初魚を神に 

  供え、船主、舟子一同で食し、一年の豊漁を祈願する。夜の明けやらぬ内か

  ら出港する幾つもの船。豊漁への期待感が伝わる。(恵美子)

 

佐藤 久 特選

 春雷の余さず山を清めけり       清水彩乃

 

  この句の春雷はまだ春も浅い頃だろう。眠りについていた山に春の訪れを

  知らせる雷だ。そして芽起しの雨が隈なく降り注ぎ全山を洗い清めてゆく。

  山々が青味を帯びてくるようだ。雄大で端正な句。(久)

 

秀逸

 

 苦情処理係の窓の君子蘭        杉田ゆき

 緋襷の炎のゆらぎ木の芽風       大沼遊山

 束髪の僧侶の交じる梅見茶屋      髙橋 翠

 べー独楽の弾け飛びたる花の昼     長濱藤樹

 カルメ焼ふくらむ匂ひ梅まつり     やなぎ

 観音の千手に受くる初明り       本間満美

 城壁の石の刻印雪椿          北浦美菜

 大雪警報ローファーの高校生      長山香織

 狛犬の頭の帽子落椿          東 國人

 するめ焼く長き竹竿どんど焼      大塚浩二 

みなさま

 

 「青葉風俳句大会」第四回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、9月上旬に賞状と賞品を郵送申し上げます。

 

       (俳句の島)「青葉風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

 第四回青葉風俳句大会 入選句

 

鹿又英一 大賞

 でこぼこの子ら満杯のプールかな   小林緑青

 

  町中のプールで嬉々として遊ぶ子ら。中学生もいれば、小学生も高学年、低学

  年それぞれが交じり合って、満員である。その景をなにも難しい説明をせず、

  「でこぼこの子ら」と一言で書いたのは見事である。俳句における「省略」の

  お手本のような句である。

 

同 準大賞

 モノクロの映画の台詞秋涼し     やなぎ

 

  陰陽五行思想で秋に配されるのは「白」である。「白秋」、「素秋」と言い、

  秋風は「色なき風」という。掲句、モノクロ映画という、「色のない映画」と

  「秋涼し」と取り合わせた。同質性を取り合わせて見事である。

 

同 準大賞

 七夕や子供の声のしない町      東 國人 

 

  江戸時代頃から、七夕は、子供たちが習字や習い事の上達を願う行事として

  親しまれ、短冊に願い事を書くことが広がっていった。掲句は高齢化の著しい

  町。老人はもう、短冊に書く願い事はない。この強烈なアイロニーに唸った。

 

池田恵美子特選

 鍋で買ふ豆腐二丁や町薄暑      長濱藤樹

 

  昭和の頃か。「今日は冷奴でも食べようか」と、鍋を持たされ子供が買いに

  やらされる。二丁という数詞から家族構成が見える。両親と子供二、三人の

  一般的家族。一丁は父親の酒のあて。残りは味噌汁の具。平和な時代だった。

 

佐藤 久特選

 ひぐらしの輪唱森を濡らしけり    清水彩乃

 

  森の遠近から断続的に聞こえてくる蜩の声を輪唱と詩的に表現。その声が

  「森を濡らす」との清新な把握に感服した。森中の草木に露が結んでゆく

  幻想。季節の移ろう森の匂いも感じさせる。句の端正な佇まいも美しい。

 

秀逸十句

 雷過ぎてひときわ赤しアンタレス   久美江

 草原の風の只中星月夜        内田美和

 犬居れば妣の定位置桃の花      安江富美子

 祭果て家路へ小さきウルトラマン   長山香織

 軽トラの神輿巡行空高し       藤田裕哉

 ひとひらを風に浮かせて蓮の花    北浦美菜

 朝涼や競技場から笛響く       比呂子

 兵児帯を締めて気合いの夏祭     玉水敬藏

 傾けし試飲グラスよカナカナカナ   yotchan

 ビバルディの四季のうつろひ零余子飯 戸山花江

みなさま

 

 「木の芽風俳句大会」第三回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、3月10日に賞状と賞品を郵送申し上げます。

 

       (俳句の島)「木の芽風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

 第三回木の芽風俳句大会 入選句

 

大賞

 母と子の同じまなざし豆の花    北浦美菜

 

  「豆の花」は、春に咲く豌豆、蚕豆、隠元豆等の総称。白やピンクなどの可憐

  な蝶形の花を咲かせる。掲句、母音だけで書いてみると「ああおおお/おあい

  あああい/あえおああ」となる。句の後半から「あ音」が集中して明るさが

  増し、リズムもテンポも良くなってくる。内容はもちろん、俳句の音楽性も

  侮れない。

 

準大賞

 藁苞の産みたて卵水温む      やなぎ

 

  藁苞とは、藁で編んで中にものを入れられるようにしたものである。まだ暖か

  さの残っている卵を割らないように、藁で包み持ち帰っているのであろう。

  「水温む」の同質性の取り合わせにより相乗効果が出た。

 

準大賞

 金色の木刀袋初稽古        比呂子

 

  体言だけで詠まれた締まった句である。剣道の初稽古であろう。新年最初の

  稽古に「金色」という最上の色。豊かさと高貴を象徴する色を新年に取り合わ

  せて相乗効果を出した。  

 

池田恵美子 特選

 浅沓の踏む玉砂利や木の芽晴    藤田裕哉

 

  浅沓は神職が祭事、祈事の際に履く黒漆塗りの木靴。玉砂利を踏むその姿、

  沓音に着眼。初春の芽吹き始めた木々が成長してゆく頃の明るさ、聴覚、視覚

  をきかせた取り合わせに惹かれた。(恵美子)

 

佐藤 久 特選

 押入れに雛眠らせて雛祭      東 國人

 

  「眠る」ではなく「眠らせて」と言ったのは、雛が眠っているのは自分の所為

  という感覚だろう。子供が大人になって家にいない寂しさ。長い間お雛様を

  出してあげていない後ろめたさ。「見えない物」を詠んで語らせた。(久)

 

秀逸十句

 

 花冷のボトルに遺る名前かな      海鬼

 春燈のぽつりと滲む湖岸かな      大沼久美江

 防人の歌の百余首寒北斗        長濱藤樹

 早春の飛騨高山の人力車        玉水

 ピアノ弾く妻の白髪や降誕祭      藤田裕哉

 森の端の囀り空の白みけり       清水彩乃

 冬至湯の柚子に残りし子の歯形     小林緑青

 はづされし表札の跡さへづれり     yotchan

 野遊びの子供同士の一会かな      竹内美也子

 相模湾の遠き四温の光かな       大沼遊山

 

 

みなさま

 

 「青葉風俳句大会」第三回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、9月5日に賞状と賞品を発送申し上げます。

 

       (俳句の島)「青葉風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

 第三回青葉風俳句大会 入選句

 

鹿又英一 大賞

 爽やかやデッキブラシの滑る音  比留間加代

 

  「爽やか」という季語は、さらりと乾いた秋風が吹くことをいい、さらにその

  風に包まれるときの気分をもいう。掲句、「爽やかや」と詠嘆して、作者の

  実感を表出した。もし、「爽やかなる」と繋げたら中七以降の単なる説明に

  堕する。自分の思いの高揚点を切れ字によりしっかり明示することは俳句と

  いう最短詩形に重要である。                 (英一)

 

準大賞

 金継の碗の珈琲法師蝉      大塚浩二

 

  「金継」という日本独特の技術は、偶然性が作り出す「景色」を、醜いとせず

  「わび・さび」の境地まで高めたことである。作者は、その金継の碗を愛おし

  みながら、つくつくぼうしの声を聞いている。万物が衰える秋だが、また実り

  の秋でもある。季節の変わり目を惜しみ鳴く法師蝉を象徴的に取り合わせたの

  は技ありである。                      (一)

 

準大賞

 難聴の母に届きし秋の声     北浦美菜

 

  「秋の声」とは、風やせせらぎなど自然の音、あるいは人のたてる物音等、

  具体的な音ばかりでなく、心の中に響いて来る秋の気配もまた、秋の声で

  ある。掲句は、この季語の本意をしっかり踏まえて、御母上の心情を見事に

  詠まれた。                        (英一)

 

池田恵美子特選

 無住寺のおほき反り屋根雁渡る  杉田ゆき

 

  継ぐ人のいない無住寺の寂しさではあるが、大きい反り屋根を見ると重々しさ

  を感じる。「雁渡る」は秋の到来を知らせると同時に、もののあわれも感じさ

  せる。無住寺の静けさと湖沼の賑わいという対比も連想させる季語の斡旋が

  上手い。                         (恵美子)

 

佐藤 久特選

 青墨の筆の奔りや涼新た     長山香織

 

  一気に詠み下したような勢いのある句。青墨はセイボクと読みたい。「奔る」

  が手練れの筆の滑らかで力強い躍動を感じさせる。白地の和紙に明るい青墨の

  文字が次々と現れてゆく清々しさ。正しく「涼新た」だ。   (久)

 

秀逸十句

 最終のリフトに夏を惜しみけり  海鬼

 機関車の太き煙や青葉風     大沼遊山

 笠深くして精霊のひと踊     やなぎ

 葉鶏頭に山の陽届く馬篭宿    大沼久美江

 稲妻の自由に通ふ大地かな    角谷勝也

 生温きコップの水や盆の月    小林緑青

 大西日波間に浮かぶ海ほたる   伊藤 博

 唐黍や歯並びのよき優良児    久米康敏

 渓流の飛沫や合歓の花烟る    内藤雅都代

 剥落の弥陀の半眼小鳥来る    清水彩乃

みなさま

 

 「木の芽風俳句大会」第二回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、3月7日朝に賞状と賞品を発送申し上げます。

 

       (俳句の島)「木の芽風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

            第二回木の芽風俳句大会 入選句

 

鹿又英一 大賞

 相模湾の細波の音日脚伸ぶ       大沼遊山

 

  静かに打ち寄せるさざ波の音で日脚が伸びたのに気がついた、という感性に感心

  した。よく見ることと詩は、本来的に関係はないのである。見たものは単なる詩

  の切っ掛けである。その切っ掛けをどのように俳句にするのかはつまるところ

  感性である。(英一)

 

準大賞

 乾鮭の窪む眼や軒の風         小林緑青

 

  「乾鮭」とは、鮭の腹を裂いて、はらわたを取り除き、塩を振らずに軒下などで

  陰干しにしたものである。掲句、中七の措辞に臨場感がある。写生とは、そのもの  

  の命の在りようを書くのである。それが出来ている。(英一)

 

準大賞

 紅梅の香りほのかや神籤匣       千葉幸博

 

  神社での景であろう。俳句はやさしく懐かしいものであることをこの句を詠んで

  改めて思った。普通のことを普通の言葉で普通に言う。その時に少しだけ見方を

  変える。それが神籤匣を置いたことである。取り合わせが即かず離れず絶妙。

                                  (英一)

 

池田恵美子 特選

 浅草の車夫の筋肉木の芽風       大沼遊山

 

  さまざまな木が芽吹くこの時季は、自然の生命力を最も感じる。客を乗せ、力強く 

  走り抜ける車夫の太腿、二の腕の筋肉に作者は着眼。車夫を詠んだ類句はあるが、

  勢いのある同質性の季語、「木の芽風」の取り合わせが上手い。(恵美子)

 

佐藤 久 特選

 産院に聖書の言葉日脚伸ぶ       清水彩乃

 

  聖書の言葉というと「光あれ」を想起する。天地の始まりと新しい生命の誕生。  

  「日脚伸ぶ」が未来へ向かうイメージを喚起させ、明るい日差しの溢れる産院に

  生まれたばかりの赤子の鳴き声が聞こえてくるようだ。(久)

 

秀逸十句

 

 電子辞書入れ啓蟄の旅支度       清水彩乃

 

 馬酔木咲く檀家少なき父祖の寺     杉田ゆき

 

 梅一輪納骨堂に母を置く        東 國人

 

 眠る前の白湯のひと口冬深む      北浦美菜

 

 駅ピアノ日脚伸びたるコンコース    大塚浩二

 

 春時雨消へ入りさふに渡し船      竹内美也子

 

 長生きを詫びる嫗やはだれ雪      内藤雅都代

 

 競走馬の草食む余生日脚伸ぶ      yotchan

 

 大阪のイルミネーション小夜時雨      大沼遊山

 

 春めくや礎石まわりのもぐら塚     大塚浩二

 

みなさま

 

 「青葉風俳句大会」第二回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、8月30日朝に賞状と賞品を発送申し上げます。

 

       (俳句の島)「木の芽風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

    令和三年 青葉風俳句大会 入選句及び選者選評  鹿又英一

 

大賞

 大噴湯の押し上げてゐる鰯雲     清水彩乃

 

  火山国日本には各地に「噴湯(ふんとう)」がある。関東近郊であれば、

  河津桜で有名な伊豆河津の峰温泉の大噴湯。一時間に一回、約三十メートル

  の高さに湯温百度の湯を噴き上げる。掲句、中七下五の臨場感ある措辞に

  圧倒される。

 

準大賞

 うつくしき文字を書くひと鶏頭花   長山香織

 

  美しい文字を書く人のイメージは「姿勢の良い人」であろう。背筋の伸びた

  姿勢の人はそれだけで美しい。掲句の取り合わされた「鶏頭花」。重い頭を

  曲げることなくすっくと立つ姿。同質性のある取り合わせが上手い。

 

準大賞

 廃業の一軒宿よ竹の春        堀尾笑王

 

  中七の切れ字「よ」が、残念な思いの強調であろう。季語「竹の春」の

  対立的で反発する取り合わせに不思議な共感性を覚える。作品が息づいた  

  ものになるには取り合わせにおける「屈折と飛躍」という要素も重要である。

 

池田恵美子 特選 

 鳩の出ぬ振り子時計や夏の果     大沼遊山

 

 鳩時計の、時間が来ると時刻の数を鳴いて知らせる鳩が壊れて出て来なく

 なった。なんとも寂しくて物足りない。季語「夏の果」の夏を惜しむ気持ち

 とごく細い糸で繋っている感覚を取り合わせたのが上手い。(恵美子)

 

佐藤 久 特選

 グー出して負けるじゃんけん雲の峰  東 國人

 

 負けまいと握りしめた拳を勢いよく出したら、他の子はみなパー。じゃんけん

 の勝負なら深刻なものではないが、子供たちの歓声が沸き立つ。明るく力強い 

 「雲の峰」が遥かな未来を思わせ、作者の温かい眼差しを感じる。(久)

 

秀逸

 

 炎昼のシャッター街の道祖神       藤田裕哉

 

 朝市の梨の大箱香りけり         長濱藤樹

 

 よりかかる欄干の風秋に入る       北浦美菜

 

 恋文の似合う男や萩の風         福田さくら子

 

 しばらくは墓標に語る白桔梗       一花

 

 背びらきの魚に塩ふる島の秋       海鬼

 

 川音の這ひ上がる崖烏瓜         yotchan

 

 深山のダム開門の飛瀑かな        内藤雅都代

 

 実習室に動く人影夜学の灯        杉田ゆき

 

 炎天のTシャツ嘘をつきとほす      久保遡反

 

みなさま

 

 「木の芽風俳句大会」第一回にご投句ありがとうございました。

 

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、入選の15句が決まりました。

 

 入選の15句は「俳句の島」ホームページの上で、選評と共に末永く掲載し、

その栄誉を称えさせて頂きます。

 

 上記15句の作者の方には、3月10日朝に賞状と賞品を発送申し上げます。

 

       (俳句の島)「木の芽風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

 

   令和三年 木の芽風俳句大会 入選句及び選者選評  鹿又英一

 

大賞

着ぶくれの嬰のぬくもり宮詣  孝一

 

  おそらく、お孫様が生まれて、無事にひと月を迎えての産土神への感謝の

  「初宮詣」の景であろう。重ね着の上に艶やかな「宮参り着」を着せて大事に 

  抱いてお参りをしている景が良く見える。中七の措辞に喜びがあふれている。

 

準大賞

仏壇の入学前のランドセル   海鬼

 

  人間は、自分一人だけで生きているのではなく、ご先祖様を含めた多くの人の

  おかげで生きている。その感謝の気持ちを日々新たにするものが神棚であり

  仏壇である。掲句はそのこころをしっかり「もの」に語らせて見事。

 

準大賞

 雪しまく停電の夜の袋めん   長山香織

 

  下五の「袋めん」の質感がすごい。俳句は「もの」を詠んで「こころ」を

  伝える文芸である。言葉の源は「もの」である。「もの」の裏打ちの無い言葉

  は弱い。「袋めん」が臨場感、不安感、そして少しの安心感を伝えて見事。

 

池田恵美子 特選

 下萌や五体投地の異国僧     堀尾笑王

 

 奈良の長谷寺で、最高の礼法といわれる「五体投地」を見たことがある。両膝、

 両肘、額を順に地に付けて伏していた。日本の僧ではなく、青い目の僧であっ

 た。 下萌と五体投地の取り合わせに明るい春の訪れを強く感じた。  (恵美子)

 

佐藤 久 特選

 建国日重機の剥がす家の梁   東國人

 

 「建国日」と柱を繋ぎ屋根を支える梁の象徴性。創造と破壊の対比。これをどう

 読み取るかは人によって異なるだろうが、重機と梁の質量が圧倒的な実在感を

 もって迫ってくる。梁を剝がす轟音、舞い上がる粉塵が見える。 (久)

 

 

秀逸

 

ひとひらの命の震へ夜の梅        海鬼

 

揚げ雲雀サイクリングの父を追ふ      堀尾笑王

 

啓蟄や振り合はせする楽屋口          杉田ゆき

 

葱畑の広がつてゐる河川敷            朝顔

 

休業の路地の居酒屋沈丁花            堀尾笑王

 

窓越しの手話のさよなら木の芽風      yotchan

 

鄙びたる寺の豆まき闇動く        大沼久美江

 

大寒の空借りてゐる干物かな      大沼遊山

 

土殺しの指を零るる寒の水        清水彩乃

 

初午の呑みつぷり佳きをんなかな      長濱藤樹

 

 

 第一回「青葉風俳句大会」ご投句ありがとうございました。

 お寄せ頂きました句の中から、三人の選者の厳正な審査により、下記の通り

<第一回「青葉風俳句大会」入選句>の15句の入選が決まりました。

 

 上記15句の作者の方には、9月11日朝一番で賞状と賞品を発送致しました。週明けにはお手許に届くものと思います。

 

 次回は、「木の芽風俳句大会」という名称で、来年2月に開催します。

 

 詳細が決まりましたら、「俳句の島」ホームページ、email、郵送によりご案内

申し上げます。

 

 宜しくお願い申し上げます。

 

       (俳句の島)「青葉風俳句大会」 コンシエルジュ 長濱藤樹

 

                 記

 

第一回「青葉風俳句大会」入選句

 

【鹿又英一 特選】

  起重機の動く青空若燕      岡崎久代

 

   巣立ちをして元気に飛んでいる若燕。上五中七の措辞と季語との

   取り合わせが素晴らしい。澄み渡った空に立つ起重機のイメージを

   ぶつけて力強く躍動感ある句になった。(英一)

 

【池田恵美子特選】

  逞しき車夫の太腿蝉時雨     内藤雅都代

 

   手拭いをきりりと頭に結び、真っ黒に日焼けした車夫。筋肉の無駄

   など一切無い逞しい太腿が汗で光っている。季語の蝉時雨により

   走り抜ける人力車の風を感じた。(恵美子)

 

【佐藤 久 特選】

  夕暮や細くなりたる蟻の道    大沼遊山

 

   日盛りに光っていた蟻の道。夕暮れ時にふと見ると、いつしか蟻の

   数も減り忍び寄る夕闇に消え入りそうになっている。夏の夕暮れの

   感覚がよく出ている。(久)

 

【秀逸】

  ゆっくりとめくる新聞今朝の秋  東 國人

 

   「ゆっくり」という副詞が効いている。副詞は難しい。副詞を上手く

   使えるようになれば俳人として一人前と言われる。立秋の朝のイメージ

   にぶつけて豊かな句になった(英一)

 

【秀逸】

  皺の手の土の匂ひや豊の秋    北浦美菜

 

   体言だけで詠まれた締まった句。上五中七、「生活」を詠んで「人間」

   を書いた。人間の生活を書いて人間の命に触れることが出来たのである。

   季語の象徴性も良い。(英一)

 

【佳作十句】

  悪童の駆けるチャンバラ走馬灯  安本 純

  拭ふても拭ふても汗勝力士    堀尾笑王

  梅雨に入る信楽焼の登り窯    大沼遊山

  湖を巡る木道花擬宝珠      堀尾笑王

  浜風の動く歩道や今日の月    清水彩乃

  白南風の通り抜けたる礼拝堂   岡崎久代

  オルガンのふこふこと鳴る夏の朝 安本 純

  引き出しに言葉を探すちちろの夜 やまぐち若葉

  八月の吊り革に手のぶらさがる  海鬼

  京菓子の老舗の栞涼新た     杉田ゆき

                                                                                   以上 

・「俳句の島」俳句大会は2020年4月開催の第七回まで、四半期毎に

    完全互選(無料)の俳句大会を開催して参りました。

 

・ 第八回以降は、鹿又英一先生、池田恵美子先生、佐藤久先生の選の許、

 8月に「青葉風俳句大会」、2月に「木の芽風俳句大会」という名称で

 開催することになりました。

 専門俳人の先生の選を頂き、賞状、賞品もお出しすることとなりました

 ので、投句料1組2句@1,000円を頂くこととなりました。

 

 


 

「俳句の島」俳句大会 第七回秀句

 

<花・桜を詠む> 令和二年年四月二十日投句締

 

 

不器用に結ぶネクタイ朝ざくら    小林四川

 

西行の詠みのこしたる桜かな       長濱藤樹

 

語り継ぐ祈りの炎夕ざくら          やなぎ

 

桜片や風の姿のままに落つ          一花(いっか)

 

微熱よりはじまる花の匂ひかな    新島たけし

 

外灯に浮ぶさくらや街眠る          大高芳子

 

閑けさのまた降りつもる桜かな    長濱藤樹

 

失職の父と花見よ休校児       堀尾笑王

 

残る鴨乗りたくてこの花筏          とまと

 

ほとばしる筆先の墨花の昼          yotchan

 

見下ろして見上げて花の大伽藍    やなぎ

 

城壁の水陽炎や花筏             堀尾笑王

 

京急の駆け抜けてゆく桜かな       藤田裕哉

 

面会のかはりに送る山桜       とまと

 

打ち合へる絵馬の願ひよ花は葉に yotchan

 

墓石に桜片付きし七回忌       大塚浩二

 

花どきはいつも気持ちのすれ違ふ ぬまちゃん

 

慎みの一人女子会さくら餅          イチゴパフエ

 

花吹雪浴ぶ留守番の金次郎          堀尾笑王

 

花満ちてすれ違ふ人なかりけり    戸塚純一

 

「俳句の島」俳句大会 第六回秀句

 

<正月・雪・寒を詠む> 令和二年一月二十日投句締

  

閻魔堂の説法テープしづり雪           長濱藤樹

 

風花やいつまでも鳴る警報機           戸塚純一

 

小寒の阿修羅の腕の細さかな           長濱藤樹

 

大寒の音立て閉じる鉄格子              長濱藤樹

 

反芻の神馬の口や細雪            みんと

 

小走りのハイヒール赤寒四郎           みんと

 

三猿の塞ぐ両手に初明り         こすも

 

すぐ消ゆるスマホの画面雪もよひ     やなぎ

 

嘘つきのどこか憎めぬ雪をんな        大沼久美江

 

古暦ありしところに初暦         やなぎ

 

標準木のとなりで神楽謡初              大沼久美江

 

噛みきれぬ芋かりんとう寒の入        こすも

 

 

「俳句の島」俳句大会 第五回秀句

 

<月・虫・紅葉を詠む> 令和元年十月二十日投句締

 

 

月煌々水浸く村を照らしけり       長濱藤樹

ちちろ止む微か瞬く魚拓の眼       戸塚純一

瘤いくつ月の砂漠をゆく駱駝       雅奇

ライバルはみんな友達十三夜       みんと

風の研ぐ北アルプスの谷紅葉       みんと

うすもみぢのせて転がる竹箒       新島たけし

紅葉の頭掻きをる羅漢かな          長濱藤樹

月明に浮きし前方後円墳       小林四川 

草紅葉丘の発電風車群          堀尾笑王

昭和の歯有るか無しかの星月夜      こすも

野良牛の草に伏したる昼の月         長濱藤樹 

十字架の隠るる石塔薄紅葉             yotchan

 

 

 

「俳句の島」俳句大会 第四回 秀句 

 

<滝・潮を詠む> 令和元年七月二十日投句締

 

 

葉月潮蝋涙溜まる慰霊塔         yotchan 

夫婦滝風に時をり不協和音                有村努 

青葉潮不沈戦艦沈む灘            堀尾笑王

身の内にリズム生れたり滝の前        やなぎ

潮騒の磯を枕に夏惜しむ         有村努

西を向くジョン万次郎夏の潮          長濱藤樹

異界にて娑婆を見るごと滝の裏        とまと 

夏の潮二島を抱き流れけり                 長濱藤樹

 

 

「俳句の島」俳句大会 第三回 秀句

 

<花・桜を詠む> 平成三十一年四月二十日投句締

 

 

教壇に初めて立つ日朝桜     雅奇 

すべり台はなれぬ吾子へ花吹雪  雅奇 

花の雲庭師の青きヘルメット   長濱藤樹

薄れゆく記憶の底やゆふざくら  東岳人 

さくら蘂降る空缶の喫煙所    戸塚純一

一献は鬼に捧げし花の闇     長濱藤樹

禁酒より断酒といはれ夕桜    るいべ

追ひかけるピアノ音階飛花落花  Misty

空襲の後の歳月桜の芽      yotchan

平成は令和に花は葉桜に     堀尾笑王

葉桜や少し地味かと夫に問ふ   こすも

半日はさくら蕊降る風の中    常磐子

伐採に決まる老木花万朶     堀尾笑王

山桜こんなところに家ひとつ   東岳人

花どきの息やはらかく化粧坂   やなぎ

初花の空へ積みたる慰霊塔    yotchan

花海棠のひとひら姫の袖塚      四川

鳳凰の翼を広げ枝垂れ桜     みんと

 

 

「俳句の島」俳句大会 第二回 秀句

 

<正月・雪・寒を詠む> 平成三十一年一月二十日投句締

 

八年の仮設住宅鏡餅       堀尾笑王 

雪催ひ掌に神木の鼓動かな    yotchan

髭面の店主ぽつりと「あ、雪だ」   №18

お正月八十路ほどよき物忘れ   常磐子

大寒や阿弥陀吐き出す空也像   東 岳人

酒蔵を覚えてゐたり雪女     佐藤弥生

ネイル塗る嘘ちりばみし寒夜かな とまと

初明り空翔けのぼる龍の影    raijin

その奥に幼子のこゑ初電話    やなぎ

大寒や星の欠片の降つてきし   raijin

寒月の胎児宿せる赤さかな    №18

みちのくの三本届く寒造     長濱藤樹

 

 

「俳句の島」俳句大会 第一回 秀句

 <月・虫・紅葉を詠む> 平成三十年十月二十日投句締

 

名月や琥珀の中の虫うごく          るみこ 

恐竜の卵の孵る月夜かな       佐藤弥生 

向かひ合ふ座禅の壁やちちろ虫    yotchan 

ふたりにも独りの時間月の酒       水鶏 

点滴瓶下げて窓辺の望の月          鈴木経彦 

積みなほす城の石垣昼の月          yotchan 

山門の錆し鉄鋲昼の虫          堀尾笑王 

月光や欄間の黒き波頭          のえの  

神官の砂利踏む音や夕紅葉          やなぎ 

鈴虫のことりと回す地球かな       ピーターラビコ